頭の中のリストは、いつまでも終わりません。仕事、家のこと、出そうと思いながら出せていない書類、「今度こそ始める」と自分に約束した目標。取りかかろうと座っても、どれも同じくらい急ぎに思えて、手が勝手にスマホへ伸びます。1時間後、何も進んでいないうえに、さっきよりも気分が沈んでいます。
それは、あなたの欠点ではありません。頭がいっぱいの状態は、物事を選ぶのに向いていませんし、「とにかく優先順位をつけて」という助言は、いちばん難しい部分から始めるよう求めています。そこで、仕分けを紙の上でやってしまう15分の手順を紹介します。すべて書き出し、今日やることを1〜3つ選び、最初のひとつを、5分で始められるほど小さな一歩に変えます。
長いリストが人を固まらせる理由
研究者の E. J. Masicampo と Roy F. Baumeister は、終わっていない目標が心に何をもたらすのかを調べました。2011年の論文では、終わっていない目標が、人々の頭に何度も割り込んできました。その目標に具体的な計画を立てると、目標を達成する前でも、その邪魔は減りました。この研究が扱ったのは計画であってリストではないので、リストは作業の前半にすぎません。以下のステップで、いちばん大切な項目を計画に変えます。
2つ目の理由は、時間ではなく気持ちに関わるものです。研究者の Fuschia Sirois と Timothy Pychyl は、先延ばしを「短期的に気分を立て直す方法」だと説明しています。やるべきことを避けると、今は気分が楽になりますが、そのツケは未来の自分が払うことになります。さらに Piers Steel は、2007年のメタ分析で、やるべきことがどれだけ不快に感じられるかと、うまくやれる自信の低さが、先延ばしを予測するもっとも強い要因に数えられることを見いだしました。つまり、避けている項目は、いちばん大きなものとは限りません。いちばん気が重いものかもしれませんし、うまくできるか疑っているものかもしれません。
そのため、長いリストはいつまでも気を引き続け、しかも、いちばん手をつけるべきことは、いちばん避けてしまいやすいのです。以下の手順は、その両方に応えるものです。
ステップ1. すべて書き出す(0〜5分)
タイマーを5分にセットして、頭の中のものを1枚の紙に出し切ります。返信しなければいけないメール、洗濯、「歯医者に電話する」、書きたい小説、お金へのぼんやりした不安。自分の言葉で、順番は気にせずに。まだ、仕分けも判断も修正もしません。小さなことも大きなことも、同じ紙に書きます。
タイマーが鳴ったら、まだありそうでも手を止めます。あとから書き足して構いません。
ステップ2. 今日大切なことを1〜3つ選ぶ(5〜8分)
リストを一度読み返して、自分に聞いてみます。これだけ終わったら、今日は十分だと言えるだろうか。1〜3つに丸をつけます。声の大きいものではなく、大切なものを。今日が本当の締め切りのものがあれば、それは短いリストに入れます。
それ以外は消すわけではなく、今日ではないというだけです。このステップは、少し居心地が悪いかもしれません。選ぶということは、何かを待たせると認めることだからです。
ステップ3. 最初のひとつを5分の一歩に変える(8〜10分)
丸をつけたなかで、今夜までに片づけておきたいものをひとつ取り、自分に聞いてみます。実際に体を動かして最初にすることは何だろう。一歩とは、自分がやっている姿が目に浮かぶものです。
- 「レポートに取り組む」は、「レポートを開いて、見出しを3つ打ち込む」になります。
- 「部屋を片づける」は、「開けていない請求書を全部ひとつの山にして、テーブルに置く」になります。
- 「体を鍛える」は、「ランニングシューズを玄関に置いて、5分歩く」になります。
テストは2つです。ほかに何も決めなくても始められること、そして5分で収まること。読んでもまだため息が出るなら、さらに小さく切ります。その項目が大きな目標なら、大きな目標を小さな一歩に細分化する方法のガイドでやり方を紹介しています。
その項目が気の重いものなら、その気持ちと言い争わないでください。不快さは先延ばしを予測するいちばん強い要因のひとつなので、最初の一歩は、ほとんどばかばかしいくらい小さくしましょう。
ステップ4. 5分のタイマーを始める(10〜15分)
タイマーを5分にセットして、その一歩だけをやります。鳴ったら止めて構いません。続けたければ、そのまま続けてください。続けなくても、すでに始めています。その項目は、もう白紙ではありません。
始めること自体が壁になっているなら、ずっと後回しにしている目標を始める方法をまるごとまとめたガイドもあります。
ステップ5. 残りの居場所をつくる
リストに戻ります。選ばなかったものそれぞれの横に、日にちを書きます。おおまかで構いません。「木曜」「今週末」「レポートを送ったあと」。先ほどの研究が試したのは、具体的な計画でした。項目の横に日にちを書くのは、それを私たちなりに簡単にしたもので、「あとで」よりずっと具体的です。これでリストは、山積みではなく計画になります。
ステップ6. 動いたことに気づく(夜)
一日を終える前に、1行だけ書きます。今日、何が動いたか。終わったことではなく、動いたことを。Teresa Amabile と Steven Kramer は、著書『The Progress Principle』(2011年)のために、238人が書いた約12,000件の毎日の日記を分析しました。いちばんよかった仕事の日に最も多く見られた特徴は、意味のある仕事で前進していること。ほんの小さな前進でも同じでした。調べたのは仕事についてですが、ヒントとしては、生活のほかの場面にも当てはまります。5分の一歩も、ちゃんと数に入ります。
例で見る手順
時間配分は私たちの提案であって、研究で確かめられた結果ではありません。自分に合わせて、短くしても長くしても構いません。
| 山がたまっている場所 | 0〜5分:すべて書き出す | 5〜8分:1〜3つ選ぶ | 8〜15分:一歩とタイマー |
|---|---|---|---|
| 仕事の一週間 | クライアントへのメール、木曜のスライド、経費精算、チームのチェックリスト、予約を入れる電話、たまった受信箱 | 木曜のスライド、クライアントへのメール | 資料を開いて、スライドのタイトルだけ打ち込む。ほかのことはしない |
| 家で過ごす週末 | 請求書、洗濯、冷蔵庫、ぐらつく棚、歯医者、誕生日プレゼント | 請求書、歯医者 | 開けていない請求書を全部ひとつの山にして、最初の1通を開ける |
| 個人的な目標 | ランニングの再開、講座を終える、小説を書き始める、ギターを習う、写真の整理 | ランニングの再開 | 靴を玄関に置いて、5分歩く |
よくある失敗
- 書きながら仕分ける。書くことと選ぶことは、別の仕事です。混ぜると、リストが止まります。
- 4つ以上選ぶ。7つ並んだ「最優先」のリストは、元のリストに戻っただけです。
- 実はプロジェクトになっている最初の一歩。「予算を整理する」は5分では終わりません。「表計算を開いて、今月の大きな出費を3つ書き出す」なら終わります。
- 小さな用事から片づける。かんたんな返信を10件こなすと、はかどった気がします。けれどそれは、上で説明した気分の立て直しにあたる、避けるための行動が姿を変えたものかもしれません。
- 残ったものを失敗と受け取る。失敗したのではありません。それぞれに日にちが決まっているだけです。
よくある質問
すべてが本当に急ぎのときは?
項目ごとに聞いてみてください。これが明日まで待つと、どうなるか。本当に待てないものだけが、今日の短いリストに入ります。それでも3つを超えるなら、いちばん早い締め切りから始めて、延ばせるもの、分けられるもの、断れるものがないか見てみましょう。この手順で山が小さくなるわけではありません。どこから始めればいいかを教えてくれるだけです。
始める気になれないときは?
自分に厳しくするのではなく、一歩を小さくします。5分だけやって、そのあとは止めて構いません。
いちばん難しいことから先にやるべきですか?
そうとは限りません。いちばん簡単か、いちばん難しいかではなく、大切かどうかで選びます。大切なものが気の重いものなら、恥ずかしいくらい小さな最初の一歩を用意しましょう。
ほとんどいつも圧倒されている感じがするときは?
このガイドが扱っているのは、やることがたまっている状況だけです。その気持ちが続くとき、ほとんど毎日のように現れるとき、睡眠や仕事、人間関係に支障が出るときは、信頼できる人や専門家に話してみてください。ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
急ぎのことに負けてしまう目標の一歩は、Aimoraにまかせる
この手順は、どんな山にも使えますし、必要なときに何度でも繰り返せます。Aimoraが受け持つのは、そのうちの一部です。いつも急ぎのことに負けてしまう、個人的な目標です。目標と、使える時間、いまの状況を伝えると、毎日、その日に合わせてつくられた小さな一歩がひとつ届きます。今日は多すぎる?もっと小さくしてほしいと頼めば、一歩がそれに合わせて変わります。
安定してきたら、一歩もいっしょに大きくなっていきます。何日か空いても、Aimoraは「取り戻して」とは言わず、いちばん小さな一歩から再開します。進み具合と連続記録はアプリで確認でき、今日の一歩はApple Watchやウィジェットでも見られます。
