ようやく、うまく回るリズムができていました。出勤前のランニング、20分の英語、数行の文章、ほどよい時間の就寝。そこへ年末年始がやってきます。帰省、泊まりにくる親戚、日付が変わるまで続く忘年会や食事会。どこかでリズムがふっと緩み、気づいたときには、もう1週間がたっています。
よくあるアドバイスは「気合いで乗り切る」ですが、お客さんでにぎやかな家では、そんな気合いは長持ちしません。もう少し小さな計画のほうが役に立ちます。習慣のほんの一部だけを残す。すでに見えている邪魔への対処を、前もって決めておく。そして、休み明け最初の日に何をするかを知っておく。
年末年始に習慣が崩れやすい理由
リズムは、ふだんの日に支えられています。同じ目覚まし、同じ空き時間の30分、同じ場所。年末年始は、それをいっぺんに取り上げてしまいます。ですから、休み中に崩れたからといって、感じているほど意志の弱さを表しているわけではありません。
効果があるのは、前もって決めておくことです。Peter Gollwitzer と Veronika Brandstätter による1997年の研究では、学生たちにクリスマス休暇のあいだにレポートを書いてもらいました。いつ、どこで書くかを具体的に決めたグループでは、71%が期限内に書き上げました。決めなかった学生では32%でした。2倍以上です。前もって下した、たったひとつの小さな決断で、これだけ差がつきました。
では、1日抜けると実際にどれだけの代償があるのでしょうか。Phillippa Lally らは2010年の研究で、新しい毎日の習慣を身につけようとする人たちを追跡しました。習慣は少しずつ自動的になり、平均でおよそ66日たつと横ばいになりました。そして、1日抜けても、その過程が大きく損なわれることはありませんでした。この研究が見たのは単発の抜けであり、2週間離れた場合ではないので、長い休みに代償がないとまでは言えません。それでも、習慣を壊すのは一度の抜けではありません。
ダメージを与えるのは、その後の反応です。Janet Polivy と Peter Herman は、1985年にダイエットを研究するなかで、失敗だと感じられたつまずきが、すべてを投げ出すきっかけになりうることを説明しました。これは、のちに「どうにでもなれ効果」(what-the-hell effect)という通称で知られるようになりました。この研究は食事についてのものでしたが、この声には聞き覚えがあるかもしれません。「もう2日も抜けたんだから、今さら続けて何になる?」
ステップ1. 軸になる習慣をひとつ選ぶ
旅行や来客の1週間に五つの習慣を守ろうとするのは、五つとも落とす近道です。軸をひとつ選びましょう。いちばん手放したくない習慣か、いちばん持ち運びやすい習慣です。スマホのレッスンは、教科書より持ち運びが楽です。
ほかの習慣は、あえてお休みにします。声に出して言ってみましょう。「読書は仕事始めまでお休み。それでいい」。自分で決めた休みに、罪悪感はいりません。
ステップ2. 2〜5分の最低ラインまで小さくする
休み中の習慣は、空き時間がまったくない日でも生き残れなければいけません。2〜5分で終わり、道具はいらず、空いている部屋で、いま着ている服のままできるくらいに小さくします。ぼんやりした意気込みではなく、具体的な動作を書きましょう。「運動する」ではなく、「スクワット10回と2分のストレッチ」。そして、出発の前や、お客さんが来る前に準備しておきます。スーツケースの上にスニーカー、枕の上にノート、スマホにはレッスンを開いたまま。
最低ラインは、ほとんど笑ってしまうくらいがちょうどいいのです。人が多くて落ち着かない日には、「ほとんど笑ってしまうこと」ならできて、「ちゃんとした運動」はできません。この考え方は、やる気が出ない日にできることでも詳しく紹介しています。
ステップ3. すでに見えている邪魔に、「もし〜したら、〜する」計画を立てる
年末年始の邪魔は、予測がつきます。どの日が移動日で、どの夜が遅くなりそうか、もうわかっています。だから、夜の11時に親戚の家の居間であわてるのではなく、いま、頭がすっきりしているうちに決められます。
形はひとつだけ使います。「もし[状況]になったら、[時間と場所]で[最低ライン]をする」。クリスマス休暇のレポートの研究で学生たちがしたのも、これです。いつ、どこでやるかを決めたのでした。Gollwitzer と Paschal Sheeran は2006年に、こうした「もし〜したら、〜する」計画94件の検証をまとめたメタ分析を行い、目標の達成に中程度から大きな効果があることを見いだしました。
- 電車や飛行機に乗るなら、席に着いたらすぐ、五つのフレーズをおさらいする。
- 親戚が泊まっているなら、だれかが起きてくる前に、2分間をすませる。
- 夜に出かけるなら、帰ってからではなく、出かける前に最低ラインをこなす。
- 食事が長引きそうなら、デザートの前に5分だけ散歩に出る。
書くのは三つか四つで十分です。気がかりな日だけにしましょう。それ以上になると、宿題になってしまいます。
ステップ4. 抜けた日の意味を、いま決めておく
おそらく1日は抜けます。何日か抜けるかもしれません。その意味を、先に決めておきましょう。付箋に収まるルールはこれです。抜けた日は休みの日であって、判決ではない。翌日の仕事は最低ラインだけで、それ以上はしない。取り返すための2倍の量も、なし。
ふたつの言い方を比べてみましょう。「もうだめだ、年が明けてからやり直そう」は、どうにでもなれ効果の声です。「昨日は抜けたから、今日は2分のバージョンをやる」なら、習慣は続いていきます。一度抜けることの代償は小さいものです。高くつくのは、それについて自分に語る物語のほうです。
ステップ5. 休み明け最初の日を計画する
休みが明けてから最初の普通の日を選び、その日に何をするか、いま決めておきましょう。日付と時間、具体的な一歩を書いて、カレンダーに入れます。以前のルーティンではなく最低ラインにして、そこから積み上げていきます。調子がよければ、毎日少しずつ増やします。
決めるのをその日に任せると、まだ頭が半分休みのまま、「そもそも、どこから始めればいい?」という、あの古い問いと向き合うことになります。ランナーなら、休み明け初日は10分の軽い歩きとジョグで、休み前の5kmではありません。書く人なら、最後のページを読み返して、200字書きます。
よくある6つの習慣の、年末年始プラン
| いつもの習慣 | 休み中の最低ライン | 「もし〜したら、〜する」計画 |
|---|---|---|
| 運動:40分のワークアウト | スクワット10回と2分のストレッチ | 映画やドラマのエンドロールが流れ始めたら、立ち上がってやる |
| 語学:30分のレッスン | 5フレーズ、または短いレッスン1回 | 行列や搭乗口で待っているときに、5フレーズをおさらいする |
| 読書:夜に30ページ | 2ページ | 夕食ができるのを待っているあいだ、SNSを眺める代わりに2ページ読む |
| 執筆:1,000字 | ノートに3文 | 朝のコーヒーをいれているあいだに、その3文を書く |
| 貯金:定期的な振り込み | どんなに少額でもいいので、振り込む | 支払いのために銀行アプリを開いたら、先に少額を貯金に移す |
| 睡眠:夜11時までに消灯 | 最後の15分は、スマホを部屋の反対側で充電する | 午前0時を過ぎて帰宅したら、歯みがきの前にスマホを充電器につなぐ |
よくある失敗
- 日課をそっくりそのまま続けようとする。毎日まとまった1時間が必要な計画は、休み明けの静かな1週間のための計画であって、年末年始向きではありません。
- 最低ラインが十分に小さくない。シャワーやジム、30分が必要になるなら、もう一度削りましょう。
- 抜けた分を取り返そうとする。抜けた翌日に2倍やると、休みの日が借金に変わります。そして借金は、人がまさに先延ばしにしがちなものです。
- 再開の日を空白のままにする。「落ち着いたら」は、いつのまにか2月になります。休み明け最初の日に、日付をつけましょう。
よくある質問
年末年始は、習慣を完全にお休みしてもいいですか?
もちろんです。ただし、それを「決めたこと」にしましょう。休む期間を決めて、最低ラインで再開する日を書いておきます。再開の日がある休みは、計画です。再開の日がない休みは、つい見失ってしまいます。
2週間も出かけていて、何もできないときは?
かばんに入るくらい軽いバージョンを選ぶか、計画的に休みましょう。どちらでも、戻った日の日付と最初の一歩を書いておきます。
もう1週間抜けてしまっていたら?
それなら、今日が休み明け最初の日です。今日は最低ラインをやりましょう。自分に謝る必要はありませんし、1週間分を取り返そうともしないでください。
糸をつなぐのは、Aimoraにまかせる
Aimoraは、目標と使える時間、いまの状況をもとに、毎日ひとつの小さな一歩を届けます。それでも重いときは、「重い? もっと軽くする」をタップすると、一歩が軽くなります。ウィジェットやApple Watchから完了にできるので、手がふさがっているときにも便利です。
抜けた日があっても、これまでに灯した星は、ひとつも消えません。何日か空いても、Aimoraは「取り戻して」とは言わず、いちばん小さな一歩からやり直します。リズムが戻ってきたら、一歩もいっしょに大きくなっていきます。休みの形は、だいたいそんなものです。つなぎとめる小さな一歩、空白、そしてやさしい戻り道。
