やろうという気持ちは、ちゃんとあります。何をしたいかもわかっているし、それが大切なこともわかっている。それなのに、気づけばほかのことばかりしている。そして、たいてい夜遅くに、おなじみの問いがやってきます。どうして、いつもこうなんだろう。
正直に言うと、先延ばしの原因がひとつだけということは、めったにありません。研究者たちは何十年も先延ばしを研究してきましたが、出てくる理由はいつも同じいくつかです。たいていの人は、そのうち2つか3つにすぐ心当たりがあります。自分の理由がわかれば、対策は「もっとがんばる」よりずっと具体的になります。
まず、性格の欠点ではありません
先延ばしは、人がいちばんよく抱える悩みのひとつです。心理学者の Piers Steel は2007年の研究レビューで、大学生の80〜95%が先延ばしをしていると推定しました。大人になっても、この癖が抜けない人はたくさんいます。
それに、先延ばしは怠けとは違います。怠けは、何かをしたくないこと。先延ばしは、それをしたい、少なくとも終わらせたいと思っているのに、それでも避けてしまうことです。この「やるつもり」と「実際にやる」のあいだのすき間に、7つの理由はすべて潜んでいます。
1. 作業がいやな気持ちを呼び起こす
これがいちばん大きな理由です。Fuschia Sirois と Timothy Pychyl は、先延ばしを「短期的に気分を立て直す方法」だと説明しています。作業が、退屈、不安、自信のなさ、手に負えない感じといった不快な気持ちを生み、避けるとその気持ちがひとまず消える。そのほっとする感覚が、脳に「次もそうしよう」と教えてしまうのです。
見分け方: その作業のことを考えた瞬間、心が小さくひるんだり、急にスマホを見たくなったりする。
対処法: 気持ちに名前をつけ(「書類の意味がわからなくて、自分がばかみたいに思える」)、その気持ちがほとんど顔を出さないくらい、最初の一歩を小さくします。やり方は先延ばしをやめる方法のガイドで順を追って紹介しています。
2. ごほうびは遠く、苦労は今
Steel の研究は、時間の影響を重く見ています。ごほうびが遠くにあるほど、今日の自分を引っぱる力は弱くなります。一方で、苦労は今ここにあります。だから来月の締め切りはぼんやりしていて、明日の締め切りになったとたん、急に効き始めるのです。
見分け方: 締め切りが迫ってからようやく動き出し、あわてて片づける。
対処法: 今日もらえるごほうびをつくりましょう。チェックマーク、グラフの1本の線、アプリの星などで、進み具合を目に見えるようにします。作業中だけ流すお気に入りのプレイリストのように、楽しめるものとセットにするのも手です。
3. 次の一歩がわからない
「起業する」「体を引き締める」「部屋をすっきりさせる」。こうした目標には、わかりやすい始まりがありません。次の行動がぼやけていると、脳は全体を脅威として受け取り、代わりにもっとはっきりしたことを探しに行きます。
見分け方: その項目が何週間もリストに残っていて、考えると、怖さよりも霧のようなもやもやを感じる。
対処法: 目標を、5分でできて終わりがはっきりした具体的な行動ひとつに変えます。やり方は大きな目標を小さな一歩に細分化する方法のガイドで紹介しています。
4. うまくできないのが怖い
よく原因にされるのが完璧主義ですが、研究はここに役立つひとひねりを加えています。Fuschia Sirois が中心となった2017年のメタ分析によると、先延ばしの多さと結びついていたのは、完璧主義のうち「心配する」側面、つまりミスへの恐れや人からの評価への恐れでした。高い基準そのものは、先延ばしとは結びついていませんでした。
見分け方: いつまでも「準備」や下調べ、計画の手直しを続けていて、本番の作業が始まらない。
対処法: まずは雑な第一稿でいい、と自分に許可を出しましょう。「序論を書く」より「下手な段落をひとつ書く」のほうがずっと始めやすく、あとからいくらでも直せます。
5. 自分にできるか自信がない
努力が報われると思えないとき、人はますます先延ばしにします。Steel は、自分の能力への自信の低さが、先延ばしを予測するもっとも強い要因のひとつであることを見いだしました。
見分け方: 「どうせ失敗するんだから、やっても意味がない」と考えてしまう。以前にやれたことでさえ。
対処法: 小さな証拠を集めましょう。今日やり終えた一歩は、どんなに小さくても「できる」という証拠です。小さな一歩を1週間やり終えると、どんな励ましの言葉よりも、自分に語りかける物語が変わります。
6. ただ疲れている
調子のいい日に立てた計画は、調子の悪い日にぶつかることがよくあります。疲れ切っていたり、ストレスがたまっていたり、体調が悪かったりすると、どの作業も負担が大きくなり、もともと避けていた作業は、とうてい無理なものになります。
見分け方: 夜や、忙しい一週間の終わり、よく眠れていない時期に、先延ばしが増える。
対処法: どの一歩にも「エネルギーが低い日」のバージョンを用意しておけば、疲れた日もちゃんと数に入ります。例はやる気が出ない日にできることのガイドにあります。
7. 気が散るものが、かつてなく身近にある
Steel のレビューでは、気が散りやすいことや衝動的であることも、先延ばしと密接に結びついていました。今の時代、それはたいていひとつのことを意味します。これからやろうとしていたことより面白くなるように設計されたアプリで、いっぱいのスマホです。
見分け方: 「ちょっとだけ」とスマホを開いて、気づいたら40分たっている。
対処法: 作業を始めて最初の数分は、気が散るものとのあいだに距離を置きましょう。机の上に伏せておくより、別の部屋に置くほうが効果的です。一度始めてしまえば、引っぱられる力は弱まります。
おまけの理由:未来の自分が他人のように感じられる
心理学者の Hal Hershfield の研究によると、私たちの多くは、未来の自分のことを、まるで他人のことのように考えているようです。Eve-Marie Blouin-Hudon と Timothy Pychyl による関連研究では、未来の自分とのつながりを感じにくい学生ほど、先延ばしが多いことがわかりました。難しい作業は、来週の「別の誰か」に渡すほうが簡単なのです。
その距離を縮める手軽な方法があります。明日の夜の自分を思い浮かべてください。その一歩が終わっていてほっとしている自分か、終わっていなくてうんざりしている自分か。そして、その人のために、一歩を進めましょう。
自分の理由はどれ?
たいていの人には、主な理由がひとつと、それを後押しする理由が1つか2つあります。自分の理由を見つけるには、1週間こうしてみてください。何かを避けていると気づくたびに、その作業を書き出し、「これを後回しにしているのは、〜だから」という文を完成させます。金曜日には、パターンが見えてきます。上の対処法のうち、どれから始めればいいかもわかるはずです。
よくある質問
好きなことまで先延ばしにしてしまうのはなぜですか?
好きだからといって、気の重い部分がなくなるわけではないからです。大好きな趣味にも、白紙の状態から始めること、上達する前に下手なまま練習すること、どこから手をつければいいかわからないことがあります。そうした瞬間は、どんな雑用とも同じように、避けたい気持ちを引き起こします。
大切なことほど先延ばしにしてしまうのはなぜですか?
大切な作業ほど重みがあるので、呼び起こす気持ちも強くなります。プレッシャーも、失敗への恐れも、迷いも大きくなる。だからこそ、いちばん大切にしている目標が、いちばん長く後回しにされがちなのです。ずっと後回しにしている目標を始める方法のガイドは、まさにそのために書きました。
先延ばしが、ほかの何かのサインということはありますか?
ときにはあります。先延ばしが生活のあらゆる面に影響している、何年も続いている、あるいは気分の落ち込みや不安、集中しづらさがずっと続いているなら、医師やカウンセラーに相談してください。その奥に、テクニックではなく、きちんとした支えが必要な何かがあるかもしれません。
最初の一歩を軽くするのは、Aimoraにまかせる
ここで紹介した理由のいくつかには、同じ処方箋が効きます。はっきりしていて、小さくて、その日の調子に合った次の一歩です。Aimoraが届けるのは、まさにそれです。先延ばしにしている目標を伝えると、毎日、「完了の目安」がはっきりした具体的な一歩をひとつ書いてくれます。つらい日には「重い? もっと軽くする」をタップして、何が引っかかったかを伝えると、今日の一歩が軽くなります。一歩を進めた日ごとに星がひとつ灯るので、積み重ねてきた前進がいつでも目に見えます。
